アメリカの幼児教育では必ず読まれるエリック・カールの絵本。
一番有名な絵本は、『はらぺこあおむし』(The Very Hungry Caterpillar)ですが、他にも名作がたくさん!
日本語に訳されている絵本も多く、英語と日本語両方で読める絵本もあります。
今日は、子供の科学への興味を引き出す絵本!エリック・カールのおすすめ絵本 をご紹介します。
エリック・カールについて
図書館や学校のストーリータイムでは、はらぺこあおむし(The Very Hungry Caterpiller)はもちろんですが、他のエリック・カールの絵本もたくさん読まれます。
2011年には彼の生涯と絵本をテーマした映画 “Eric Carle: Picture Writer” が作られ、マサチューセッツ州にはエリック・カール博物館もあるほどの人気絵本作家です。
- アメリカ、ニューヨーク州生まれの絵本作家(両親はドイツ人)
- 1番の代表作は世界60以上の言語に翻訳され、累計発行部数は4400万部に登る『はらぺこあおむし』
- エリック・カールの著作は70冊以上
- コラージュという貼り絵の技法で絵を描いているのが特徴
なんと、『はらぺこあおむし』を一番最初に出版したのはアメリカではなく、日本!!
今もはらぺこあおむしを出版している偕成社の尽力により、この名作が出版されたというのは感慨深いものがあります。
エリック・カールの絵本のおすすめポイント
- 繰り返しされる文章が多く、子供たちも暗唱・復唱しやすい
- 色、時間、数などの概念を学ぶきっかけになる
- 昆虫、動物、海の生き物、植物について知識を得ることができる
エリック・カールの絵本はとてもRepetivive(繰り返し)が多く読みやすく、子供たちも覚えてやすい文章が多いです。
それだけでなく、生き物や植物の知識、小さい子供に覚えて欲しい数字や曜日、時間の概念も同時に学ぶことができるように工夫されています。
例えば、Grouchy Ladybugではてんとう虫がアブラムシを食べることと時間の概念、Mister Seahorseではタツノオトシゴはオスが卵を守り孵化させること、The Tiny Seedでは種は様々な方法で運ばれることなどを学ぶことができます。
STEM教育に力を入れているアメリカでは、サイエンス(科学)は非常に重要。
サイエンスと言っても、幼児期にまず大切なのは、身近な生き物や植物に興味をもつこと。
生き物がそれぞれユニークな形で変化、成長、生活していく様子を学ぶことができるエリック・カールの絵本は、幼児期にぜひ読んでおきたい絵本です。
エリック・カール作、おすすめの絵本
アメリカでは、The Very Hungry Caterpillar(はらぺこあおむし)を読む春の時期に、他のエリック・カールの作品も読まれることが多いようです。
最近、3歳の息子も6歳の息子も、学校で、”The Grouchy Ladybug” と “Papa, Please Get the Moon for Me” を読んできたとのこと。
日本語にもたくさん訳されているエリック・カールの絵本ですが、個人的に特におすすめなのは以下の8冊です。
- Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?
- Polar Bear, Polar Bear, What Do You Hear?
- The Mixed-Up Chameleon
- Papa, Please Get the Moon for Me
- Mister Seahorse
- The Very Busy Spider
- The Tiny Seed
- The Grouchy Ladybug
参考として、絵本の邦題、概要、レクサイル指数を載せています。
レクサイル指数で”AD”がついているものは、大人が読み聞かせるのに向いている本。
あくまでもレクサイル指数は読書レベルを測る数値の一つなので、これにこだわらず、子供が読んでも構いません。
個人的には、Brown Bear、Polar Bearは赤ちゃんから幼児への読み聞かせ用。
その他は幼児への読み聞かせ、キンダーガーデン・ファーストグレードからは自分で読む練習をしても良いレベルかと思います。
Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?
こちらの絵本のは文はビル・マーチン(Bill Martin)、絵はエリック・カールが担当しています。
アメリカの図書館や幼稚園でも必ず読まれる一冊。
くまさんが見ているものは赤い鳥、赤い鳥が見ているものは黄色いあひる・・・と続いていきます。
動物の名前と色の勉強にもなります。
同じ、ビル・マーチン(文)、エリック・カール(絵)のシリーズには、
- Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?(パンダくんパンダくん なにみているの?)
- Baby Bear Baby Bear, What Do You See?(こぐまくんこぐまくん なにみているの?)
などがあります。
Polar Bear, Polar Bear, What Do You Hear?
Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?のしろくまバージョンで、動物の鳴き声に焦点が当てられています。
文章自体は単純な繰り返しが多いので難しくはありませんが、”Brown Bear”と比較すると、braying(いななく), boa constrictor(ボア・コンストリクター、王ヘビのこと)など、思ったより難易度の高い単語もちらほら・・・
英語版と日本語版を読み比べると、動物の鳴き声がかなり違うので面白いです。
The Mixed-Up Chameleon
色々な色に変身できるカメレン。
ある日動物園に行ったカメレオンは、自分の存在がとってもちっぽけでつまらないものに思えて、他の動物みたいになれたらいいなと願うようになります。
この絵本で繰り返されるフレーズは、”I wish I could be…”
文法(仮定法)としてではなく、一つのフレーズ、自分がこうなりたいなぁと思う時にはこんな言い方ができるということを自然に学ぶことができます。
最後にカメレオンが願うことは、”I wish I could be myself.”
自分が自分であることを肯定してくれる絵本でもあります。
Papa, Please Get the Moon for Me
『パパ』は娘の願いを叶えるために、とても長いはしごを使って月を取ろうとします。
はしごの長さや、月の遠さ、月の大きさなどを表すために、ページが横や上下に開く仕掛け絵本になっています。
そのはしごの長さをみて、初めて読んだ子供たちは笑ってしまうほど。
エリック・カール独特のコラージュの貼り絵で描かれた月は、陰影がありとても素敵です。
月が満ち欠けることも学べます。
Mister Seahorse
恥ずかしながら私はこの絵本を読むまで、タツノオトシゴはオスが卵を孵化されることを知りませんでした。
他にも海では様々なオスたちが子供たちを育てています。
タツノオトシゴがゆっくり海の流れと共に動いていく(Drift)する様子が頭に浮かぶような絵本。
この絵本を読むと、海や水族館に行って、もっと海の動物のことを知りたくなります。
The Very Busy Spider
こちらの本でもたくさんの動物が登場し、鳴き声を学ぶことができます。
蜘蛛の巣の糸の部分を触ると少しボコッとしている、仕掛け絵本になっています。
“She was very busy spinning her web”という文章と絵は何度も繰り返されるので、クモがクモの巣を作ることを”Spin its web”ということ、クモは糸をお尻から出すことも自然に覚えられます。
The Tiny Seed
一番小さかったタネが、風に吹かれて、海にも落ちず、鳥にも食べられず、冬を越して無事に発芽します。
そのあとも他の仲間は踏まれたり、人に摘まれたり・・・
しかし小さいタネは大きく元気に育ち、家よりも高くなり、綺麗な花を咲かせます。
よくあるタネとお花の話ではありますが、この本では最後まで生き残るのは小さいタネだけ。
実はタネが成長して花になり、また新たなタネを作るまでにはいろんな試練があることがよくわかります。
花好きの息子たちの大好きな絵本です。
The Grouchy Ladybug
不機嫌なてんとう虫くんが、1時間ごとに自分より大きな虫や動物の場所に行くので、時間の流れと言い方を意識することができます。
小さな体で自分より大きな虫や動物に”Hey you, Want to fight?”と喧嘩を売るてんとう虫がユーモラスです。
てんとう虫はありまき(アブラムシ)を食べることも学べる一冊。
我が家のパンジーにアブラムシがついてしまって、てんとう虫を探していた時にこの本を学校で読んできたようで、我が家の息子たちはすっかりてんとう虫好きになりました(といってもまだ触るのは怖いようですが・・・)。
まとめ
今日は、子供の科学への興味を引き出す絵本!エリック・カールのおすすめ絵本 をご紹介しました。
小さい子供にとって科学への入り口は、近くにいる虫や植物、動物たち。
エリック・カールの絵本は、そんな身近な生き物たちに興味をもつきっかけを与えてくれます。
英語と日本語で読める絵本も多いので、幼児英語教育にもおすすめです。