アメリカの学校は、音楽の教育にも熱心で、小学生の頃から、学校でオーケストラやバンドの楽器の練習を始めることが多いようです。
そして、ニューヨークの小学校では、NYSSMA(ニズマ)という言葉を耳にするようになります。
ピアノを習っている息子は、NYSSMAのピアノの審査を受けてきました。
学校でバイオリンなどを習っている生徒もNYSSMAを受けにいくことが多いようです。
今日は、何事も実力主義のアメリカ!ニューヨークの音楽の審査会、NYSSMAとは?! についてご紹介します。
アメリカの音楽教育
アメリカの学校は、小学校の中学年(3年生、4年生)くらいから、楽器を習い始めるところが多く、クリスマスや年度末には、練習した成果を披露するためのコンサートが催されたりします。
息子が通っている小学校では、サードグレイド(3年生)から、リコーダー(縦笛)の練習と、オーケストラの楽器(バイオリン、ビオラ、チェロなどの弦楽器が打楽器)の練習が始まります。
そして、バンド(管楽器や打楽器)に挑戦したい人は、フォースグレイド(4年生)から練習が始まります。
オーケストラやバンドで使う楽器は、高価なものなので、近くの楽器屋さんからレンタルすることができるようになっています。
大きすぎる楽器以外は、毎週末持ち帰って、家でも練習することになっているようです。
夏には、楽器の練習ができる無料のサマーキャンプが開催されたり、アメリカの学校は音楽教育にも熱心です。
NYSSMA(ニズマ)
NYSSMA(ニズマ)とは
ニューヨークには、音楽の技量の審査を行う、NYSSMAという団体があります。
- NYSSMA(ニズマ)とは: New York State School Music Association の略称。子どもたちの音楽の教育を促進することを目的として、年に一度、音楽の技量の審査を行っているニューヨーク州の団体。毎春、約10万人の生徒たちが審査を受けると言われている。通常、現役、もしくは、引退した音楽の先生たちが審査員(adjudicator)を務める。
毎年、ニューヨークでは、初春にNYSSMA Solo/Ensemble Festivalsが行われます。
”Festival”という名前ですが、いわゆる祭典のようなものではなく、あくまでも練習してきた歌や演奏を審査員の前で披露をするもので、評価項目に従って、審査されるための年に一度の集まりです。
NYSSMAは協会の名前ではありますが、「英検」のような感じで、「NYSSMA」のレベル(I〜VI)は、ニューヨークで音楽をする生徒たちのレベルの指標の一つになっているようです。
NYSSMAの演奏会への申し込み
通常、NYSSMAの演奏会の3〜4ヶ月前に学校からお知らせがきて、学校を通して申し込むことができます。
今年度は、NYSSMAの演奏会が3月だったので、昨年の12月にお知らせメールが届きました。
息子の学校では、オンラインで申し込みと支払いができるようになっています。
申し込みの際には、都合の悪い日時やNYSSMAで演奏する曲などを連絡します。
日時の都合が悪くなったり、演奏する曲が変更になった場合などは、窓口になっている学校の音楽の先生に連絡をすれば調整してくれると思います。
NYSSMAの日程が確定すると、音楽の先生から連絡が入り、NYSSMAの演奏許可証が渡されます。
NYSSMAの演奏会の当日
近隣の大学などがNYSSMAの会場になることが多いようで、息子のNYSSMAの会場は、Adelphi UniversityのPerforming Arts Centerでした。
自分の演奏時間の15分前には到着し、受付を済ませるようにとのことなので、少し時間には余裕を持っておいた方がよいと思います。
持ち物は、演奏する曲の楽譜(自分用と審査員用)と、音楽の先生からもらった演奏許可証(印刷したもの)。
受付で、演奏許可証を見せると、演奏する部屋の場所を教えてもらえます。
受付では、スケールのメジャーも聞かれます。
受付の後は、部屋の前で静かに待ち、自分の名前が呼ばれた入室して、演奏をします。
レベル1〜4は一人10分程度、レベル5〜6は一人15分程度の演奏時間となるようです。
NYSSMAの服装
服装は審査基準に入っていないので、スウェットやスポーツチームのジャージを着ている子もいましたが、女の子はワンピース、男の子はワイシャツに紺色や黒色の長ズボンを履いている子が多かったです。
特に年齢が上の方の男の子は、シャツを着ている確率が高いです。
息子も昨年は、Tシャツで行きましたが、今年は白シャツと黒色ズボンといういわゆる”Concert Wear”で行きました。
NYSSMAの審査
NYSSMAでは、演奏する楽器とレベル(Level 1〜6)を選んで、ソロかアンサンブル、ジャズかクラシックなどを選択して、申し込みをします。
楽器だけでなく、ヴォーカル(歌)を披露することもできるようです。
NYSSMAのクラシック・ピアノでは、3つの演奏を披露します。
一つ目は、NYSSMAマニュアルでレベルごとに定められた楽曲の演奏。
NYSSMAマニュアルの楽曲の中から、一つ(場合によっては複数)の曲を選択しておいて、練習したものを披露します。
レベル1〜4の曲の演奏では、リズム、技術、正確性、表現力、ミュージシャンシップ(音楽性、音楽的才能)が評価項目になっています。
二つ目は、スケール(音階)。
いくつかのメジャーのスケールを披露します。
三つ目は、サイトリーディング。サイトリーディングでは、その場で見せられた楽譜を1分間くらい見てから、ピアノで実際に弾いてみせるようです。
それぞれを4段階で評価されるようです。
Level 1は、初めてNYSSMAを受ける小さい子が多いということもあり、良いスコアを取れることが多いようです。
レベルが上がっていくにつれて、曲もサイトリーディングも難しくなっていくようです。
結果は、1〜2週間後に、音楽の先生経由で渡されます。
返却されたシートには、評価と審査員からのコメントが記入されています。
Level 1〜4は28点満点で、ポイントに応じて、26-28 Outstanding, 21-25 Excellent, 16-20 Good, 11-15 Satisfactory, 6-10 Fair and 0-5 Needs Improvementという評価になるようです。
Level 5〜6は、A +、A、B・・・という評価がつき、スケールに関しては、100段階(100点が満点)となるようです。
何らかの理由で評価は欲しくない、という場合は、「コメントのみを希望(Comment Only)」という選択もできるようです。
あくまでもLevel 2までの感想ですが・・・練習をしてNYSSMAを受けにきたこと自体も評価してくれているようで、採点は思ったより甘めでした。
NYSSMAを受ける理由
NYSSMAを受ける理由は色々とあると思いますが、我が家の場合は、大きく二つあります。
一つめの理由は、楽器の練習のモチベーションを上げたい!ということです。
NYSSMAを受けると決めると、漠然と練習をするのではなく、目標を持って練習をすることができます。
ただし、何ヶ月も同じ課題曲を練習することになるのと、厳しい審査結果が返ってくるとその後のモチベーションが下がってしまうので、良し悪しはあると思います。
二つ目の理由は、いつか、選抜メンバーになって欲しい!ということです。
NYSSMAで良い結果を残せると、オーケストラやバンドのAll-District(学区の選抜メンバー)や、All-County(郡の選抜メンバー)に選ばれて、選抜メンバーが集まる演奏会に参加する機会が与えられます。
レベル6くらいまでに達すると、All-State(州の選抜メンバー)や、All-Eastern(東部の選抜メンバー)に選ばれることもあるようです。
オーケストラやバンドの楽器でNYSSMAを受けるときは、音楽の先生が休み時間などに指導してくれるので、音楽が好きな子どもには良い機会かと思います。
まとめ
今日は、何事も実力主義のアメリカ!ニューヨークの音楽の審査会、NYSSMAとは?! についてご紹介しました。
幼稚園や小学校の低学年くらいに、日本からアメリカの学校に転校してくると、きっと、子どもたちは、アメリカの学校は遊んでばかりで楽しい!というと思います。
しかし、アメリカは公立の学校でも、実力がある人たちはどんどん上にいく仕組みができていて、学年が上がっていくにつれて、その実力主義を実感する場面が増えてきます。
キンダーガーデンでも、NWEAといわれる実力テストがあったり、サードグレイドからは、ステートテストと言われる試験が始まり、客観的に、点数で評価される機会があります。
音楽でもスポーツでも、実力がある子どもたちは選抜チームに選ばれて、大きな演奏会や大会に参加する機会が与えられたりします。
楽器を習っているけれど、なかなかモチベーションが上がらないときには、一つの目標としてNYSSMAに挑戦してみるのも良いかもしれません。