英語を学ぶ時に非常に役に立つ、韻(Rhyme)やフォニックス(Phonics)。
ドクター・スースの絵本は、楽しくリズミカルな文章で、韻やフォニックス、基本的な英単語を学べるので、アメリカではとても人気のある絵本の一つです。
アメリカの学校では、ドクター・スースの誕生日のお祝いをするくらい、教育現場でも長く愛されている本です。
しかし、一方で、ドクター・スースが創り出す、極端に特徴を強調、ステレオタイプ化するようなキャラクターなどが、人種差別的であるという議論もあります。
今日は、人種差別的であるという理由で6冊が絶版に!それでも愛されるドクター・スースの絵本 についてご紹介します。
ドクター・スース(Dr.Seuss)とは
- “The Cat In The Hat,””Green Eggs and Ham”などで有名な、絵本作家(同時に、児童文学作家、画家、漫画家でもある)、セオドア・スース・ガイゼル(Theodor Seuss Geisel)のペンネーム
- 1991年に亡くなっているが、2020年のフォーブス誌によるセレブの死後収入ランキング(The Highest-Paid Dead Celebrities Of 2020)では、マイケル・ジャクソン氏についで、二位になっている
“The Cat In The Hat”を読んだことがない方でも、赤いしましま帽子をかぶった猫や、緑色のキャラクター、Grinch(グリンチ)の絵をどこかで見たことがあるということが多いのではないでしょうか。
ドクター・スースは、全部で40を超える作品を残しており、発行部数の合計は世界で6億部以上と言われています。
セレブの死後収入ランキングの一位はマイケル・ジャクソン、三位はスヌーピーを描いた漫画家のチャールズ・シュルツと聞いただけでも、いかにドクター・スースの存在が大きいがわかります。
アメリカの学校で学ぶドクター・スース
アメリカの学校では、作者のセオドア・スース・ガイゼル(Theodor Seuss Geisel)の誕生日にちなんで、3月2日は、ドクター・スースの誕生日のお祝いをすることが多いようです。
ドクター・スースの絵本に出てくるキャラクターの仮装をするような学校もあるようですが、長男はキンダーガーデンで、The Cat In The Hatの猫の帽子を作ってきました。
次男はプレスクールで、ドクター・スースのキャラクターの塗り絵をしたり、絵本を読んできたりしたようです。
- 韻(Rhyme)を踏んだ言葉と文章がふんだんに使われている
- 英語を読みはじめたばかりの子供たち(Early Reader)が読めるような、簡単な英単語を使って書かれている
韻を踏んだ文章は非常にリズミカルかつコミカルで、子供たちも自然と暗唱してしまうほどです。
また、安易な英単語を繰り返し使うことで、子供が自分で読めるような工夫がされています。
例えば、”The Cat In The Hat”は、236語の基礎的な英単語だけで書かれています。
“Green Eggs And Ham”に至っては、たったの50単語!!
子供たちが、自分で読める!という自信を持つことができるのです。
ドクター・スースの本が一部廃刊に
2021年3月2日、ドクター・スースの絵本や作品の権利を管理している、ドクター・スース・エンタープライズ社(Dr. Seuss Enterprises)が、以下の6冊のドクター・スースの絵本を絶版(今後の出版を中止)にすると発表しました。
- “And to Think That I Saw It on Mulberry Street”(『マルベリーどおりのふしぎなできごと』)
- “If I Ran the Zoo”
- “McElligot’s Pool”
- “On Beyond Zebra!”
- “Scrambled Eggs Super!” (『おばけたまごのいりたまご』)
- “The Cat’s Quizzer”
“And to Think That I Saw It on Mulberry Street”(『マルベリーどおりのふしぎなできごと』)は、出版社から出版された初めての著書であり、長くアメリカでは愛されている本だったので、衝撃を受けたアメリカ人も多かったようです。
These books portray people in ways that are hurtful and wrong.
(本に登場する人物の描かれ方が中傷的であり適切でないため。)
対象となる6冊は、人種差別的な描写があるという理由から絶版が決まりました。
例えば、”And to Think That I Saw It on Mulberry Street”では、”A Chinese man Who eats with sticks”という文言とともに、目が線のように細く描かれた人が、お箸とお碗を持って走っている絵が出てきます。
1979年に改定されるまでは、Chinese manは、Chinamanという記載で、顔は真黄色の色でした。
このような描写が、非常にステレオタイプであり、人種差別的であるという批判が昔から多くあったようです。
ちなみに、この中国人の絵は、キン肉マンでいうとラーメンマンのような絵です。
今の時代ではラーメンマンも問題視されるということかと思います。
ドクター・スースが有名になる前には、もっと極端に人種の特徴を描いた、明らかに人種差別的な絵や文章を書いている時もあったようです。
第二次世界大戦を生きたという時代背景もあり、日本人に対してもJap、というような差別的な発言をしていた時期もあったようです。
おすすめのドクター・スース絵本、8選
Hop on Pop
一番初めに読むドクター・スースの本としておすすめ。
とても簡単!ドクター・スースの本は割と長い文章が多いですが、こちらは短いです。
1歳くらいからの読み聞かせにもぴったり。
3歳頃からは自分で読むことができる絵本です。
The Foot Book
こちらも短めで簡単。
足が沢山ある動物など、絵を見ているだけでも楽しく、数や色に関する言葉も学べます。
Ten Apples Up On Top!
りんごの季節(秋頃)には、学校でもよく読まれる本。
動物たちがりんごをどんどん頭にのせていきます。
この本を読んだあと、長男の学校では、実際にりんごを何個まで頭に乗せられるか、みんなで競争したそうです。
Cat In The Hat
ドクター・スースで一番有名な本。
3歳くらいからの読み聞かせに向いています。
5歳頃からは、自分で読むことができるくらいのレベルです。
ヘンテコな”Trick”をするネコ、大暴れする”Thing 1,””Thing 2″、リズミカルな文章が子供の心を掴むようです。
多くの子供たちが、ドクター・スースを好きになるきっかけにもなる本だと思います。
Green Eggs and Ham
Sam I amが繰り広げる、ヘンテコなストーリー。
意味不明なストーリが面白いらしく、子供たちは爆笑しながら読んでいました。
Fox in Socks
英語がネイティブでない私にとっては、読むのが大変な一冊。
舌が絡まりそうになるくらい、韻を踏む単語のオンパレードです。
キンダーガーデンでも読んできたようで、一部ですが長男は暗唱していました。
There’s No Place Like Space!
初歩的な宇宙の情報を学ぶのにはぴったりのドクター・スース。
息子が通っている学校では、セカンドグレイド(2年生)になると太陽系を暗唱するようなので、その時期に読むのも良いかもしれません。
Wacky Wednesday
朝、少年が目を覚ますと、壁に靴が!
家の中でも、外でも、学校でも、”Wacky”(いつもと違ってヘンテコ)なことがたくさん!
間違い探しのように、どんどん増えていくWackyなことを見つけるのが楽しい絵本です。
まとめ
今日は、人種差別的であるという理由で6冊が絶版に!それでも愛されるドクター・スースの絵本 についてご紹介しました。
アメリカの学校でも長く愛されてきたドクター・スースの絵本。
読んでいると楽しくなるリズミカルな文章と、少しヘンテコな面白いストーリーが人気の秘密です。
図書館や本屋さんでは、必ずと言っていいほど、ドクター・スースコーナーがあるほど人気がありますが、人種差別的である、子供たちに間違った印象を与えてしまうというような理由で、一部の絵本の絶版が決まりました。
確かに、ドクター・スースの過去作や発言を知ると、複雑な思いになります。
それでも、ドクター・スースの絵本が、子どもたちにたくさんの笑顔を届けてくれる、素晴らしいものであることに変わりありません。
子どもに本を読む楽しさを教えてくれるドクター・スースの絵本、一度、手にとってみてはいかがでしょうか。